小野晃司


■「若者が定着する中心街に」 中日新聞(2005年1月17日)
 
 サゴーエンタプライズ(浜松市鍛冶町)の新社長に小野晃司氏が就任した。同社は舘山寺の温泉旅館のほか、浜松市中心街のビジネスホテルやショッピングセンター(SC)などを運営し、浜松地域の観光振興や中心街活性化などの地域課題にも大きくかかわる。小野社長に今後の事業展開について聞いた。

◎浜松の観光業の現状は。
 昨年の浜名湖花博は、この地域が真の「観光都市」となるための分岐点だった。この機会を生かして一過性に終わらせない気概が大切で、その表れの一つとして自分も発足時から参加している「浜名湖えんため」(環浜名湖の観光振興を考える会)の活動があると思う。
 えんためは天然トラフグの地域ブランド化やグリーンツーリズムなどの事業に地域ぐるみで取り組む民間のグループで、「浜名湖」を大分県の「湯布院」のように強い地域ブランドとするには、一企業の取り組みでは限界がある。今年も同じ中部圏で中部国際空港(愛知県常滑市)開港や愛・地球博(愛知万博)開幕などのイベントがあり、地域間競争が厳しい中で幸せなことだ。

◎会社の宿泊事業の状況はどうか。
 舘山寺のサゴーロイヤルホテルは、団体から女性客を中心とした個人へと旅行形態が変化しているのを受け、女性用大浴場の更衣室の全面改装を始めた。浜松は温暖で、雪などによる四季の景色の変化が比較的少ない地域。交通立地に恵まれている利点を生かし、地元食材などで季節感を出す必要もあるだろう。
 浜松市中心街に三軒あるビジネスホテルは新規参入が続く上、新幹線「ひかり」の増発で日帰り客が増える逆風もあって厳しい状況だが、リピーター客を増やすしかない。幸いわが社は80%超の稼働率を維持しており、合併で新たなビジネスチャンスを求めて来る人に期待したい。

◎SCと飲食店を中心街で運営する浜松モールプラザサゴーの状況は。
 三階店舗を二階に全面移設し、春に向けて新店舗導入を検討し始めた。集客装置となる店舗を探したい。今の中心街は、大型店と個別商店街との連携があまりなく回遊できていない。地域の顔である中心街に若者が滞在し、好奇心や楽しい思い出を生み出す場所でなくては、将来の地域を担う人材は残らない。

◎会社の目標は。
 2004年2月期の売上高は36億5千万円だったが、5年以内に40億円体制を実現したい。ただし規模拡大より経営体質の強化が肝心。中長期的には売上高経常利益率一割を目指したいが、最低限今の5%水準を維持する。
 売り上げ比率では舘山寺の旅館とビジネスホテルの宿泊が70%を占め、残り30%がSCと飲食業だが、お客さまの数でいうとSCと飲食業が70%と逆転する。地元の人に支えられている自覚を持つとともに、文化と雇用を創造する企業としての責任を担いつつ時代の流れを見て変化し続けたい。