ホテレス

今回は、週刊ホテルレストランオータパブリケイションズ)という全国誌(発行部数15,000部)の中の、竹内美樹の全旅連リレー対談「宿屋のご主人に聞く!」というコーナーで取材を受けたのですが、夏場でしたので、服装がクールビズになっています。


以下は、原稿を転載しますので、お読みくださいね☆




多角経営でバランスを取りつつ、
地域を面としてとらえた観光業を目指す。


旅館部門・ホテル部門・飲食部門・賃貸管理部門の4つの事業を浜松市内で展開するサゴーグループ代表、小野晃司氏。サービス業というジャンルの中で躍進し続ける同社の源は、系列会社も含むグループ全体の従業員約350人に対するCSのためのESや、小野氏が米国留学で得たさまざまな知識に基づく企業戦略だ。その詳細を探る。


4つの事業部門があり、多角的に事業展開されているようですが


静岡県浜松市の浜名湖畔にある舘山寺温泉で旅館を2軒、浜松駅周辺でビジネスホテルを3軒、市内で飲食店を6店舗、さらにショッピングモールやコインパーキングを経営しています。今年創業60周年。戦後の焼け野原の中、政治家となった祖父が市民に笑いとゆとりを取り戻そうと、「浜松芸能興行株式会社」を設立しました。それを観に来る人たちの受け入れ施設が必要になり、割烹旅館を始めたのが宿泊業のスタート。ですから宿泊するだけでなく、来ていかに楽しんでいただけるかということが創業の理念です。
 

サービス業には業態やシーズンによる売上変動があります。旅館は景気が良ければ売上も伸びますが、今は苦戦を強いられる時代。逆にビジネスホテルは、シティホテルの宿泊客が経費削減でビジネスホテルを選択するようになり、少し上向きです。また、ビジネスホテルは平日型で旅館は週末型。さらに宿泊業は県外のお客さまが多く、利用数で言えば3割程度ですが、実は売上の7割を占めており、反対に飲食店やショッピングモールの利用者は市民がほとんどで数は7割ですが、単価が低いため売上は3割程度。こうして異なる業態を経営することでバランスが取れ、月毎のキャッシュフローを安定させることができ、リスクヘッジに有効な企業戦略だと思っています。

人材育成においても、飲食店で細やかな接客スキルを持つ人が大型旅館に行けば丁寧なサービスができますし、飲食店の料理長が旅館の総料理長になることで、団体旅館から個人化へ向けた料理内容の質やサービスの転換が可能になります。料理開発のプロセスやサービスの改善など、旅館の改革すべき重要なファクターが飲食店から得られ、競争力になります。
 

私どもは浜松市内をドミナントエリアとして総ての事業所を集約し、コンセプトを少しずつ変えつつ、県外・市内双方のお客さまに多面的にご利用いただけるよう細かく対応して来ました。私自身「舘山寺温泉街づくり協議会」の会長を務めていますが、地域に根差すことは大切。今は旅館に行くという点で勝負する時代ではなく、地域を面としてとらえた観光が求められているため、地元各所との連携が必要だからです。この10月には「浜名湖遊覧船株式会社」を伊豆箱根鉄道から引き継ぎました。浜名湖という面を捉えるのに非常に有効なツールですが、辞めてしまったら浜名湖には遊覧船がなくなってしまう。ならば我々が担おうと。これは私どもの施設のためだけでなく、遊園地やフラワーパーク、動物園といった観光施設を結ぶ、行政から認定された「浜名湖観光圏」の実験事業の大きな柱です。
 

顧客第一主義という創業来の経営理念は変えていません。私の経営哲学は「不変にして変転」。変えてはならないものを変えないためには、変化し続けなければいけないという意味です。だから、時代と共に団体から個人へ、バスから自家用車へとシフトしても、お客さまを喜ばせるという我々のミッションは変わりません。
 

満足度を測るアンケートでも、言語情報の中に「感動体験」だと我々が判断できるようなキーワードが書かれているかどうかを重要視しています。「お風呂に手すりがついていたので、お爺ちゃんも一緒に景色と温泉をゆっくり楽しむことができました」といったこと。アンケートの返信先は社長室で、私が全部目を通します。クレームがあった場合、翌日すぐ改善要望書を出し、対応についての回答書が現場から社長室に戻って来るシステムです。従業員の名前入りでお褒めの言葉をいただいたら、金一封を渡す制度もあります。名札をつけてお名前を覚えていただくことで、お客さまとのコミュニケーションを図ることにも繋がりますから。
 

今一番力を入れているのはHPです。ほとんど自分で作っています。変化を察知できるアンテナとしてのネットビジネスを生かせる最先端企業でいたいと。HPを作れば集客できるワケではありません。季節によってお客さまの検索キーワードも変わります。「夏休み家族旅行」というキーワードの情報を、7月になってから用意しても遅いのです。お客さまの動きを察知して、いち早くサービス内容を呼びかけられるマーケティングが必要です。現在個人宿泊のみのインターネット売上は、年間4億円程度に伸びて来ました。


東海ブロック長としてのご活動は


去年愛知県で全国大会が開催された際、私は静岡県部長でしたが、人との繋がりで開ける扉を一ついただけたと感謝しています。その恩返しとして、後輩たちに如何に伝えるかが使命だと思っています。

私はよく地元静岡の富士山に例えて話します。我々青年部の世代は8合目にいきなり上げさせてもらったのだと。当社は創業60周年。60年働くとすると、20歳で入った人が80歳ですから、それだけのところまで上げてもらったことになる。だから、8合目は空気が薄いけれど、苦しくて当たり前。感謝しつつ後ろを振り向かずに前だけを見て、弱音を吐かずに登り切るんだと。一緒にいる従業員を遭難させずに、「一緒に頂上まで行こう、登り切ったら次の山を登ろう」と言い続けるのが我々の責任だと伝えています。


あとがき


学生時代陸上競技のハイジャンプ選手として活躍していた小野氏は、「一つ夢を捨ててこの業界に来たので、それ相応の夢を果たす水準まで持って行きたい」と話す。中学で全国優勝を果たして以来、大学までずっと日本一をキープして来た彼の持論は、「一番にはなれなくても一流にはなれる」というもの。だから従業員にも「一流の心を持て」と言っているそうだ。
 

筑波大学を卒業後、アメリカの大学院で経営学のMBAを取得した、文武両道の小野氏。製造業で培われた科学的経営管理手法TQCを、国内のホテルで初めて導入するなど戦略家だ。そうした手法で困っている仲間の手助けをするのが将来の夢。「投資目的で買収されてしまう宿が増えていますが、だったら一度預かって事業を再編し、その土地を大切にして来たオーナーの元に戻すようなビジネスモデルを作りたい。そうすれば旅館という文化も守れるかもしれない」と熱く語る。
 

「日本紙飛行機協会浜名湖フライト倶楽部」代表でもある。各旅館に宿泊する子供たちに紙飛行機を作ってもらい、飛距離のコンテストを定期的に行っている。空を飛ぶのは人類の夢として、創意工夫の原点であった。それを子供たちに伝えると同時に、家族旅行の最中子供を預かることで、母親にくつろぐ時間を作ってあげたいのだと言う。やはり子供たちを預かって、湖の自然や生態系について漁師さんに説明してもらい、その後海岸を清掃することで環境問題の認識を測る「浜名湖え〜子探検隊」は、「ストップ温暖化アクションキャンペーン」で優秀賞を受賞した。これも小野氏のアイディアだ。
 

思ったことはやるタイプ。「ついて来る社員は大変ですが、皆必死にやってくれます。お客さまも彼らのそういう姿を見て、自分もまた頑張ろう」と、頑張っている人が頑張っている人によって癒される、シティホテルとは違う温泉旅館の在り方を探る小野氏。人々の心の拠り所としてのサービス業を目指す彼の姿に、真のリーダーシップを感じた。

 


竹内美樹の全旅連リレー対談「宿屋のご主人に聞く!」 第85回
小野晃司  (静岡県浜松市 サゴーエンタプライズ蝓‖緝充萃役社長 全旅連青年部 東海ブロック長) 聞き手・文 竹内美樹



ホテレス



表紙には「2009年ホテル・レストラン業界の全記」と書かれていますが…



このような全国で読まれている雑誌で取り上げていただき、個人的に過去の経歴など、詳しく話したのは初めてで…

 

たいへん光栄に感じます!